今どきのネット社会では、文字特有のコミュニケーション表現が豊かに使われるんですが、10年ほど前にあらわれた「日本語でおk(オーケー)」はなかなか辛辣です。一読して訳のわからない文章があらわれた際に、とにかく投げ掛けられる語句で、それは支離滅裂な発言に対してだけでなく、専門用語交じりの難解な文章などに対しても用いられたものです。
では日本語であれば、何でもオーケーなのかといえば、そうとも限りません。たとえばアメリカで話題になる様々なビジネス指南書は、原著は無理でも邦訳が気になるものですが、広告や書評などで勧められるままに手に取ってみても、何だかクドクド書かれているペースに感情さえもなかなか移入できず、退屈になって放り出してしまいがちです。
きっと私は辛抱強くないのでしょう。ザ・ゴールも、実は金持ち父さんでさえも、わたしには苦痛でした。
「日本語でおk」じゃなかったんです。
ですので安藤さんから「イノベーションの7つの機会」の内容がわかりやすくなってますよと紹介されても、「セブンチャート仕事術」で実際にひもとくまでは半信半疑、そんなに期待していませんでした。 シートの1ページを1分ないし2分程度で、フローを追うように読んでいきます。
フローチャートは概念ごとに枠線で囲んでありますから、自分の頭の中で行間に線を引いて、ほかの概念とかぶらないようにするストレスはまったく起きません。並立する複数の条件も、その並立ぐあいがスゥーと頭に入ってきます。
シートを何ページか読み進めてみて、全体で何を言っていたのか分からなくなっても、たいていの場合は何ページか戻ってチャートを追い直せば、全体の中の部分の流れを追いかけ直せます。
そして、いくつかのチャートを俯瞰して、本全体を流れる論理の流れを大きく掴もうとするとき、もしこれを原著や邦訳で手にしてたら、きっと読み切れてないのだろうなと震えがきました。
あえて言うなら、「セブンチャート仕事術でならオーケー」でしょうか。
少なくとも正統派のビジネス指南書の大略をすばやく適切につかむなら、これはすごくわかりやすいチャートではないかと思います。
本文の肝心な表現も、文単位で書き抜いてありますから、読後感も大きくそれません。
たぶん30分ほどで「イノベーションの7つの機会」で自分が確認したかっただろうことの、およそ大略を眺めることができたと思っています。
いま勤務先で、新製品の開発において突き当たっている壁を突破するためのアプローチを、所属している部署でも模索しているのですが、ドラッカーの枠組でひとつずつ潰していこうとしています。
「イノベーションの7つの機会」のチャートは、本の中身をパッと理解するのに、すごく助けになったんですが、この「セブンチャート仕事術」の作り方自体をマスターすると、ビジネス指南書をはじめ、さまざまな本をスピーディに読んでいくのに、すごく役立つようになるんじゃないかとも感じました。
自分で実際にやってはいませんが、本の大きなあらすじを、決まった方法論で論理的に砕いていっています。
この感覚を頭の中に叩き込めば、どんな本を読むときにも、頭のなかで「セブンチャート仕事術」を描きながら読めるようになるのではないかな、と思えてきます。
ビジネスの現場では、誰かに説明し説得する際に、話の要素を折々で3つ以内にまとめなさいなどとよく指導されますが、その3つって何だろうというのをリアルにまとめる作業にも似ている気がしました。
そういうことも含め、「イノベーションの7つの機会」のチャートは、たいへん勉強になりました。
すぐに解決はしないと思いますが、「セブンチャート仕事術でならオーケー」 になったので、検討する際の迷いは減っているのではないかと感じています。
折々で振り返りながら、業務に励もうと思います。ありがとうございます。